すしざんまい事件 知財高裁判決

 「すしざんまい」を展開する株式会社喜代村が、ダイショージャパン株式会社に対してマレーシア等で「Sushi Zanmai」という店名の使用差止めを求めて訴えた事件の知財高裁判決があったようです(ニュース記事)。地裁判決では、ダイショージャパン株式会社による商標権侵害と認定されたようですが、知財高裁では侵害が認められず、株式会社喜代村の逆転敗訴になったようです。

 マレーシア等で「Shshi Zanmai」の店名を使用することが、どうして日本の裁判所で争いになるのか、よくわからなかったので判決文(高裁判決文はまだ公開されていないので、地裁判決文)を読んでみたところ、マレーシア等で「Sushi Zanmai」という店名の使用差止めを求めたわけではなさそうです。

 原告(株式会社喜代村)は、被告(ダイショージャパン株式会社)が日本国内の需要者等に向けたウェブページで、原告(株式会社喜代村)の登録商標に類似する商標を使用したから、ウェブページから類似する商標を削除せよと訴えたようです。原告は、被告の行為が日本国内の需要者を想定したものであるから、日本の裁判所に訴えを提起したようです。

 このすしざんまい事件は特許の分野にある、発明の域外適用を彷彿させる事件だと思いました。特許の分野では、海外に発明の構成要件の一部が配置された場合に日本の特許権の侵害になるかという論点があります。この論点は、昨年のドワンゴ事件と呼ばれる知財高裁判決において、海外に発明の構成要件の一部(サーバ)が配置されたとしても特許権の侵害であると判断がされました。このドワンゴ事件は最高裁に上告中で、IT・ソフトウェア系の弁護士・弁理士から特に注目されています。

 このすしざんまい事件が上告されるかどうかは分かりませんが、商標の使い方に関する結構重要な判決になるのではないかと予想しています。

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