コインハイブの動作と事件の概要

 2月7日、東京高裁はコインハイブのプログラムの設置は有罪であるとして、罰金10万円を被告に課しました。これは、横浜地裁が一審で下した無罪判決を覆した判決になります。本稿では、判決の内容の解説ではなく、コインハイブとはどういうものなのかと、 このコインハイブ事件の概要と、 を整理していきたいと思います。

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コインハイブの動作

 コインハイブは、暗号資産Moneroを取得(マイニング)するためのプログラムです。コインハイブは、ざっくりと、以下のような流れに沿って動作するようです(細部は異なるかもしれません…)。

 コインハイブは、ウェブサイトの閲覧者のコンピュータの裏で動作するプログラムです。まず、ウェブサイトの閲覧者が、ブラウザ等を使ってウェブサイトにコンテンツを要求します。コンテンツの提供者は、コンテンツをウェブサイトの閲覧者に提供します。そして、コンテンツの提供者は同時にコインハイブのプログラムを送信します。受信したしたコンテンツが閲覧者のディスプレイに表示されます。閲覧者は表示されたコンテンツを見ます。
 閲覧者がコンテンツを見ている間に、コインハイブのプログラムが動作をします。閲覧者のコンピュータでは、このコインハイブのプログラムの動作を見ることができません。コインハイブのプログラムの作り方によって、閲覧者のコンピュータのリソースをどの程度用いるか決められるようです。このため、閲覧者のコンピュータのリソースを大量に使う場合には、明らかにコンテンツの動作速度が遅くなるので、閲覧者は不審に思うかもしれません。
 コインハイブのプログラムは、コインハイブ提供者に対して、Moneroの取得を行うプログラム(コインハイブスクリプト)を要求します。この要求を受けたコインハイブ提供者は、コインハイブスクリプトを閲覧者に送信します。そして、コインハイブスクリプトを受信した閲覧者のコンピュータは、コインハイブスクリプトを実行します。閲覧者がウェブサイトの閲覧を終了するまで、コインハイブスクリプトは実行されます。そして、コインハイブのプログラムは、コインハイブの実行結果をコインハイブ提供者に送信していきます。
 コインハイブ実行結果を受信したコインハイブ提供者は、コンテンツ提供者に対して報酬の計算を行います。報酬の計算は、コインハイブの実行結果に基づいて行われます。具体的には、コインハイブ提供者は、計算結果に基づいて、暗号通貨Moneroのマイニングを行うようです。そして、Moneroの取得量に応じて報酬がコンテンツ提供者に支払われます。
 本事件におけるコインハイブのプログラムでは、閲覧者は、コンテンツが表示された後の動作を知る機会がありませんでした。このため、このようなコインハイブのプログラムが、不正指令電磁的記録に該当するとして起訴されたのです。

コインハイブ事件の概要

 コインハイブ事件の概要は次の通りです。あるウェブサイトの管理人(被告)は、平成29年9月に コインハイブのプログラムを自身のウェブサイトに導入しました。そして、平成29年11月にウェブサイトから撤去するまでの間、コインハイブのプログラムをウェブサイトの閲覧者に実行させていました。ウェブサイトの管理人によって行われたこのような行為が、不正指令電磁的記録保管罪(刑168条の3)に違反するとして、略式起訴されました。略式起訴では、罰金10万円を課されたものの、被告はこれに不服を申し立てて、正式な裁判になったようです。その後、平成31年3月に横浜地裁にて、不正指令電磁的記録保管罪(刑168条の3)に違反しないとして、無罪判決になりました。しかしながら、令和2年2月に東京高裁にて横浜地裁の判決は一転し、有罪判決になりました。罰金は10万円でした。

最高裁で争う見込み

 ねとらぼのニュースを見る限り、本事件は、上告され、最高裁まで争われるようです。個人的には、これくらいの動作で不正指令になってほしくないなとは思います。このコインハイブのプログラムは、コンテンツを表示している間、コンピュータのリソースをギリギリまで使ってしまうとか、内部の関係ないファイルを外部に転送したり、削除したりする等、そういうことが一切行われていませんでした。それにも関わらず、このような動作を不正指令として認めてしまうと、今後、新しいウェブサービスやビジネスモデルの開発を委縮させてしまう恐れがあると考えたからです。

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