ぐんまちゃん(登録商標)から考える商標の知財戦略

Webで、ぐんまちゃん(登録商標)を世界に発信して誘客に繋げるという趣旨のニュースを見ました。
→こちら https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/politics/191795

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ぐんまちゃんに関する状況を整理しました

 上記の記事に基づき、状況を整理しました。「ぐんまちゃん」とは、群馬県のマスコットキャラクターです。群馬県は2020年度から、このぐんまちゃんのブランド強化に乗り出す模様です。具体的には、以下のような施策を行うようです。
ぐんまちゃんのプロフィールを詳細に決める、ぐんまちゃんの着ぐるみを作り直す、アニメを作りテレビや動画で配信する、商標権や利用許諾などのライセンス管理も行う等など。
 群馬県は、2020年度に約1億2500万円の予算を立てたようです。平成31年度当初の一般会計予算額が751,120,000千円 なので、約1%にも遠く及ばない金額です。
 出典→ https://www.pref.gunma.jp/07/a2100621.html
これが多いのか少ないのかよくわかりません。しかし、群馬県は、ぐんまちゃんというキャラクターに財産的価値を見出し、来年度から育てようとしていることは明らかです。これらの一連の活動は、ぐんまちゃんの価値をどのように高めていくかを考えた知財戦略だなと思いました。
 知財戦略と一口に言っても、色々とあります。例えば、技術であれば特許を取るのか秘匿するのか、意匠を取るなら全体意匠か部分意匠か関連意匠はどうするか等、挙げるとキリがありません。そこで、本稿では商標の知財戦略に特化して、今回の事例を考えていきたいと思います。

商標の知財戦略の1つ、知名度を高める

商標の知財戦略は、数多くあるかと思いますが、そのうちの1つは、いかにして知名度を高めるかだと考えられます。商標とは、以前の記事でも紹介したように自分の商品と他人の商品とを識別する機能を有しています。そして、商標にこのような識別機能を持たせるためには、ある程度の知名度を有している必要があるからです。それでは、どうすれば商標の知名度を高めることができるのでしょうか?
 もっとも簡単な方法は、自分がその商標を使い続ける事です。自分が商標を使い続けることで、需要者の目に留まり、記憶に残るようになります。需要者が商標を見ると自分たちの商品を思い出してくれるようになります。こうして初めて、商標は自分の商品と他人の商品とを識別する機能を持つようになります。
 さらに効率よく知名度を高める事は、他人に商品を宣伝してもらう事です。具体的には、テレビCMを流したり、SNSで拡散したり等が挙げられます。このように他人が宣伝することで、より多くの人の目に留まるようになり、さらに知名度を高めることが可能になります。しかしながら、一概に知名度が高ければいいのか?と言えば、必ずしもそういうわけではありません(これについては、後述します)。
 ぐんまちゃんに対する取り組みは、この知名度を高めるという点でどういう風に寄与しているのでしょうか?Webによると、群馬県は、着ぐるみの出動回数を増やすことを行うようです。自分で使用する回数を増やすことで知名度を高めようとしていると考えられます。自分で使用することで、地元での知名度を高めて市民権を得ることができるようになります。市民権を得られれば、長く地元の人々に受け入れてもらえることができますので、外せない取り組みだと思います。また、アニメを作りテレビや動画配信するようです。他人に宣伝してもらい、知名度を高めようとしていると考えられます。テレビや動画は、不特定多数の人に知ってもらうには好適な手段です。群馬県は県外から人を呼びたいと考えているようなので、そういった方々にリーチできるテレビや動画は、かなり有効な手段だと思います。知名度向上の面では、目的に即した基本的な手段を押さえられているように思います。

商標の知財戦略の1つ、品質を高める

 商標の知財戦略の1つは、品質を高めることだと考えられます。品質とは、商標に使用された商品等が良いものか、悪いものか、商品の良し悪しを示すものです。「あれは、いいものだ!」とか、「これはひどいw」とか、そういうものです。知名度の項でも触れましたが、商標は知名度が高ければよいというわけではありません。例えば、SNSの世界では自分の知名度を高めるための手法として「炎上」という手法があります。私は、炎上を商標の知財戦略の観点から見て、あまり適切な手法ではないと考えています。炎上してしまうと、「悪いもの」というイメージで広まってしまうことが多いからです。炎上に限らず、自分たちの商品が悪いものという認識で知名度が高まってしまうと、商品は売れなくなり、知財戦略の見直しが必要になります。このため、商標の知財戦略では、品質を高めることも重要になってきます。
 品質を高めるには、日々、改善を重ねてより良い商品づくりをしていくことです。ぐんまちゃんに対する取り組みは、品質を高めるという点でどういう風に寄与しているのでしょうか?Webによると、着ぐるみを作り直すようです。より品質の高いものに作り直すのだと思います。ぐんまちゃん等のキャラクターは見た目の重要性はかなり高いと思いますので、この施策はよい意味で効いてくるのではないかと思います。ただ、デザインの変更は、今までのぐんまちゃんを知っている人にそっぽを向かれてしまう危険性も有しています。ぐんまちゃんは、今までの知名度の蓄積もあるようなので、極端な変更はせず、身綺麗にしたくらいの作り直しで良いような気がします。プロフィールを詳細に作り直すことを行うようです。ぐんまちゃんの設定に厚みを設けて、より深みのあるキャラクターにしようとしていると考えられます。私は、キャラクターの設定を厚くすることは、長く愛されるキャラクターには重要な条件だと考えています。これは、ドラゴンボールや、機動戦士ガンダムなど、連載が終わっても愛され続けている作品の共通点は何だろう?と、考えたときに気が付きました。これらの作品は、敵味方関係なく、しっかりとした設定を有しています。このしっかりした設定こそが、需要者を長く魅了し続けているのではないかと考えています。これらのことから、群馬県は、品質を高める試みも十分になされていることがわかります。
 知名度と品質とは車の両輪のようなものです。知名度が高ければ、品質の良し悪しは一気に広まります。品質が良ければ、口コミなどで知名度も高まっていきます。逆も然りです。知名度が低ければ、品質の良し悪しは中々広まりません。品質が悪ければ、口コミ等もされないので、知名度も高まりません(悪い意味の知名度は高まるかもしれませんが)。商標の価値は、知名度と品質とを育てていくことで高まっていきます。商標の知財戦略は長い目で見る必要があります。群馬県の取り組みは始まったばかりです。群馬県は、2021年度からは予算がつかないなんてことの無いように、長く使って行くことが大切だと思います。

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