米国の情報開示義務制度(IDS)に違反すると権利行使できなくなる

米国の特許制度ではIDSという制度があります。IDSは、特許出願について、出願人が知っている特許性に関する情報を米国特許庁に開示することを義務付ける制度です。IDSを怠った場合、その特許権について権利行使できなくなります。このため、米国に特許出願をするときは、自身で知っている技術情報(特許公開公報など)を開示する必要があります。

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IDSに違反すると権利行使できなくなる

IDSに違反をすると特許権を行使することができなくなります。IDS違反とは、具体的には、出願人が重要な先行技術文献を意図的に米国特許庁に開示していないことや、虚偽の情報を米国特許庁に開示することです。IDS違反か否かの判断は、侵害訴訟の時に裁判所によって行われます(特許庁ではありません)。この判断の基準は主に以下の2つの観点で行われます。
1.情報の重要性
2.欺く意図の有無
1.情報の重要性とは、査定の判断に影響を与える情報であるか否かです。例えば、その文献を米国特許庁が知っていれば、特許査定されなかった場合、その情報(文献)は、重要であると判断されます。一方で、その文献を米国特許庁が知っていても、特許査定される場合、その情報(文献)は、重要でないと判断されます。
2.欺く意図の有無とは、出願人が当該文献を重要な文献であると知ったうえで、文献を提出しなかったという意思があるか否かです。

IDS違反は被告の抗弁である

IDS違反は侵害訴訟における被告の抗弁です。このため、IDS違反であることを認めてもらうためには、被告は原告の特許権にIDS違反があることを主張・立証することが必要です。被告は、2つの判断基準「情報の重要性」と「欺く意図の有無」とに関する証拠を裁判所に提出して立証する必要があります。「情報の重要性」の証拠としては、原告の特許権の査定の判断に影響を与える文献を提出する必要があります。このため、何らかの特許公開公報又は論文などの提出が必要になるでしょう。「欺く意図の有無」についても何らかの証拠が必要です。とはいえ、私自身、何を提出すればよいのか、現時点では明確には把握できていません。。。ただ、欺く意図を推認できる出願人や代理人のメールや文書等が考えられると思います。米国の訴訟では、ディスカバリ制度があり、相手方の文書の開示を求めることができるからです。この辺りの情報は、米国の代理人が来社したり等の会話できる機会があれば話を聞いてみて、文書化していきたいと思っています。

重要な情報を使って無効審判を請求できるかもしれない

IDS違反の抗弁を行う際に提出した重要な情報を用いて、無効審判を請求することができるのではないかと思いました。なぜなら、査定の判断に影響を与えるのであれば、無効資料としても活用できそうだからです。このため、IDS違反を主張できなかったとしても、重要な情報を用いて無効審判を請求することならできそうです。日本の特許権侵害訴訟でも、被告は非侵害の判決を得るために、無効審判請求や各種の抗弁(無効理由の抗弁等)を組み合わせて主張します。このため、米国でも同様に、無効審判や、IDS違反の抗弁等を組み合わせて主張してくるのではないかと思います。

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