IoT発明の保護
最近、1台のサーバと、複数の端末装置が連携して動作するシステムの発明が増えてきました。IoT(Internet of Things)と呼ばれるこのような発明は、サーバと端末装置をまとめて記載したシステムの特許だけでは、発明を保護できない場合があります。このようなシステムの発明では、システム全体の請求項に加えて、サーバ単体や端末装置単体といった、サブコンビネーションの形でも特許を取ることが重要です。
定義
サブコンビネーションの例
サブコンビネーションの例を図を用いて説明します。サーバと端末から構成されるシステムXの発明を考えたときに、システムXを個性するサーバ、端末がサブコンビネーションになります。そして、システムXをコンビネーションと言います。

コンビネーション
コンビネーションとは、審査基準に以下の通り定義されています。
二以上の装置を組み合わせてなる全体装置の発明、二以上の工程を組み合わせてなる製造方法の発明等
審査基準
サブコンビネーション
サブコンビネーションも、コンビネーションと同様に、審査基準に以下の通り定義されています。
組み合わされる各装置の発明、各工程の発明等
審査基準
メリット
サブコンビネーションの特許を取得するメリットは、権利行使をしやすくなることです。例えば、上図において、サーバと端末のユーザが異なる場合には、システムXの特許を有しているだけでは、サーバや端末のユーザに権利行使することが難しくなります。しかし、サーバや端末のサブコンビネーションの特許を有していれば、そのサブコンビネーションの特許を使ってユーザに権利行使することができます。
デメリット
サブコンビネーションの特許を取ることのデメリットは、料金が高くなることです。例えば、上図では、物の請求項だけで、システムX、サーバ、端末の3種類あります。更に、方法の請求項や従属請求項を作っていくと、請求項数は非常に多くなります。請求項数が多くなると、請求項数に応じて、審査請求料金や特許料金が上がってしまいます。
参考:特許権を維持するために必要な特許料(お金)はどれくらいか?
まとめ
IoT発明では、システム全体の特許だけではなく、個々の装置に関するサブコンビネーションの特許も取得することがお勧めです。サブコンビネーションの特許を取ることで、システムの一部だけを実施しているものに対して、特許権を行使して差し止めや損害賠償などを請求することが可能になります。しかし、サブコンビネーションの特許を取ると、請求項数が増加するので、特許料等が増えてしまうことに注意が必要です。