背景技術にも注目して社内技術情報の漏洩を防ごう

スポンサーリンク

背景技術から社内技術情報が漏洩するかも?

 弁理士がお客様から依頼を頂くときや、企業の知財担当者が発明部門から発明の届け出を受けたとき、発明の内容を示した書類が添付されていることが多いです。その書類には、発明の内容に加えて発明の背景技術が記載されていることも多いです。背景技術とは、発明が生まれるに至ったきっかけとなる技であり、明細書にも記載欄があります。このため、背景技術の内容は発明の内容とは異なります。だから、背景技術はそんなに重要視しなくてもよいと考えていたことが私にはありました。だけどその考えは改まってきています。背景技術を軽視していると、明細書が公開されたときに社内技術情報の漏洩につながりそうだからです。

社内技術情報が漏洩する仮想事例

 仮想事例を使って説明します。知財担当者(または弁理士)が、背景技術がA、発明内容がA+の発明の依頼を受けたとします。このとき、知財担当者は先行技術調査も行うとします(調査を行わずに出願する場合もあるでしょう…)。先行技術調査の結果、技術Bしか見つからなかったとします。このとき、発明内容A+は見つからなかったので新規性も進歩性もありそうだから出願しようと、知財担当者は判断するかもしれません。先行技術調査ではBしか見つからなかったにも関わらず、発明者が背景技術としてAを設定したのはなぜでしょうか?2つの原因が考えられます。
 参考:先行技術調査は必要なのか?

技術が見つからなかった原因1

 1つ目の原因は調査者の調査漏れです。検索式が不十分で適合率が低く、背景技術Aが見つからなかったことが考えられます。また、適合率は問題なくても、検索母数の都合で、背景技術Aに関する発明が調査結果にたまたま含まれなかったことが考えられます。原因が調査漏れであれば、社内技術情報が漏洩する可能性はありません。
 参考:特許調査において適合率を重視したほうがよい検索とは

技術が見つからなかった原因2

 2つ目の原因は背景技術が社内特有の技術だからです。発明者が発明内容A+を届け出る前に、試行錯誤の結果としてAと、A+と、両方を発明した場合が考えられます。発明者は、A及びA+を比較してA+を出願することに決定したということです。この場合、技術Aは、社内に閉じた技術であり、先行技術調査では出てこない可能性が高いです。社内特有の技術を背景技術として明細書に記載をしたら、社内技術情報が以前から世の中に存在する技術として認識され(漏洩し)てしまいます。

原因を特定するための手法

 技術が見つからなかった2つの原因のうち、どちらが原因であるかを特定するための方法は、発明者に聞くしかありません。発明者には、「この背景技術は、社内の技術ですか?それとも、一般的な技術ですか?」と聞いてみましょう。一般的な技術だという回答があれば、調査漏れ(原因1)だと判断することができます。明細書に書いても差し支えありません。社内の技術(原因2)だとしたら、明細書に記載をすると、社内の技術情報を必要以上に公開することになりますので、注意してください。

先行技術調査の勉強にお勧めの本

 先行技術調査の勉強には、下記の特許調査入門がお勧めです。特許調査について、未経験の初心者にもわかりやすく説明している本です。予備検索や本検索といった検索の具体的な手順だけではなく、FIやFターム等の特許分類の説明といった、検索に関する基本的な知識を習得できます。無料で使えるJ-PlatPatを用いて説明しているので、インターネットにアクセスできる環境であればだれでも本書を使って特許調査の勉強をすることができます。特許調査入門は、2021年7月の時点で第三版まで刊行されています。最新版を入手するようにしましょう。

タイトルとURLをコピーしました