拒絶査定を受けた後でもパリ優先権を主張して外国出願できる?

「拒絶査定を受けた後に、パリ優先権を主張して外国出願できるんだっけ?」
答えは、「要件を満たせば出願できます」です。通常、外国出願をするか否かの判断は、出願から12箇月以内に行われます。すなわち、審査請求前に行われることが多いです。このため、特許出願が査定を受ける頃には外国出願の判断は終わっていることがほとんどです。しかし、出願と同時に審査請求&早期審査を行った場合、外国出願を判断する前に査定を受けていることもあります。
参考:審査請求のメリット・デメリットは何か?

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日本で特許を取れなくても外国では特許を取れる場合がある

 日本では特許を取ることができなかった出願でも、外国では特許を取れる場合があります。その1つの方法が、パリ条約の優先権を主張して特許出願をすることです。パリ条約の優先権を主張することで、外国に特許出願を行い、その国で日本とは別に審査を受けることで、特許を取ることができます。外国で特許を取る場合、日本で特許を取れているかどうかは関係ありません。

パリ条約優先権の要件

 パリ条約の優先権を主張するための要件は以下の通りです。これら3つの要件を満たして、所定の手続きを踏むことで、パリ条約の優先権を主張して外国に特許出願することができます。

①いずれかの同盟国において正規に特許出願等をした者(パリ条約4条A(1))
②各同盟国の国内法令等により正規の国内出願とされるすべての出願(パリ条約4条A(2))。
③特許の優先期間は12箇月である(パリ条約4条C(1))

 ここでパリ条約でいう正規の国内出願とは、結果に関わらず、出願日が確定した出願のことをいいます。結果とは、審査結果が特許査定でも、拒絶査定でも、どちらでもよいということです。極端な話、放棄した出願や、日本で特許を受けられない発明でもOKです。

(3) 正規の国内出願とは,結果のいかんを問わず,当該国に出願をした日付を確定するために十分なすべての出願をいう。

パリ条約 第4条 (経済産業省 特許庁)

優先日から12箇月以内であれば外国出願できる

 上記の①~③の要件を踏まえると、優先日から12箇月以内であれば外国出願できることになります。優先日とは、国内出願日と考えてほとんど差し支えありません(厳密には違います)。つまり、出願日から12箇月以内であれば、すでに拒絶査定された特許出願であっても、他の要件を満たしたうえでパリ条約優先権を主張して外国出願できるという事になります。ちなみに、要件が3つあるのに、特に要件③の12箇月を強調しているのは、時期的な要件が問題になりやすい要件だからです。

事例は日頃から慣れておく

 このような状況はイレギュラー的に訪れます。このため、日頃からイレギュラーへの対応力が大切です。例えば、企業にいる弁理士は知的財産権法に関するこのような質問をメンバーから受けることがあります。質問に即答できる必要はないと思いますが、根拠条文を調べてサッと回答できるくらいの知識が必要だと思います。特許事務所にいる弁理士は、このような状況をお客様に説明できるようになっておく必要があります。とくに、ベンチャーやスタートアップのような特許出願と同時に審査請求&早期審査をする企業と一緒に仕事をする場合には、必ず知っておくべき内容だと思われます。

パリ条約を勉強するには

パリ条約を勉強するには、パリ条約講和がベストだと思います。この本は、講義形式(人が話をしているような書きぶり)で説明されています。そのため、講義を受けているような感じで読み進めていくことができます。弁理士試験を突破するには過剰な内容ではですが、外国関連の実務家・専門家として活躍していく場合には必読の本だと思います。

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