発明を公開した後に特許を取る方法(新規性喪失の例外)

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発明を公開した後に特許をとれるか?

発明を公開した後であっても特許出願して特許を取ることができる場合があります。
この場合には、新規性喪失の例外という手続きを行う必要があります。この手続きを行えば、発明を公開した後であっても特許を取ることができます。

新規性喪失の例外とは何か

 新規性喪失の例外とは、完成した発明を公開したことで発明が新規性を喪失した場合でも、その公開行為によって新規性を喪失していないものとして取り扱う規定です。
新規性とは、特許を取るために必要となる要件の1つであり、新規性を欠いている発明は、原則として特許を取ることができません。
参考:特許の要件・新規性が特許に求められているのはなぜか?
 しかし、自らの発明を公開した後に、その発明について特許出願をしても特許を取れない制度にすると、発明者にとって使い勝手が悪い制度になります。このため、新規性喪失の例外という規定を設けて、新規性を欠いている発明であっても、一定の要件を満たせば特許を認めることにしました。

新規性喪失の例外を受けるための要件

新規性喪失の例外を受けられるのは発明者が公知にした発明である

 新規性喪失の例外を受けられる発明は、発明者(特許を受ける権利を有する者)が自ら公知にした発明です。他人が公知にした場合には、新規性喪失の例外を受けることができません(例外はあります)。なお、発明者から特許を受ける権利を譲り受けた人が公知にした場合でも新規性喪失の例外を受けることができます。

出願できるのは1年以内

 発明が新規性を喪失した日から1年以内に特許出願することが必要です。この要件は、2018年に“6か月以内”から“1年以内”に法改正されています。たまに、“6カ月以内に特許出願”と書かれている資料がありますが、それは2018年の法改正前に作成された資料だと思いますので、注意してください。

出願と同時に提出する書面

 新規性喪失の例外の適用を受けようとする旨を記載した書面を特許出願と同時に提出します。
長い名前ですが、要は“願書”です。願書に、“【特記事項】特許法第 30 条第 2 項の規定の適用を受けようとする特許出願”と記載して特許出願をすることで、特許出願と同時に書面を提出したことになります。

出願から30日以内に提出する書面

 新規性喪失の例外の適用を受けることができる発明であることを証明する書面を特許出願の日から30日以内に提出します。この書面の正式な名称は“新規性の喪失の例外証明書提出書”です。この書面に、新規性を喪失した理由等を記載して特許庁長官(特許庁)に提出します。
 この書面には昨年まで出願人の押印(例えば、社印)が必要でした。しかし、政府の規制改革実施計画を受けて、押印が廃止されました。
 参考:発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための手続について

複数回公知にした場合にはそれぞれの公知行為に手続きが必要

 発明を公知にした行為が複数回にわたる場合には、それぞれの行為ごとに“新規性の喪失の例外証明書提出書”を提出する必要があります。
 例えば、発明をホームページと、雑誌と、に掲載した場合などが挙げられます。この場合、ホームページに載せた場合と、雑誌に載せた場合と、それぞれの“新規性の喪失の例外証明書提出書”を提出する必要があります。

新規性喪失の例外を受ける場合の具体例

 下図は、新規性の喪失の例外を受ける場合の具体例を示した図です。
発明を公開した日:2020年1月15日
特許出願の日:2020年10月14日
証明書提出書の提出日:2020年11月13日

 発明を公開した日が、2020年1月15日なので、この発明は、公開日から1年以内の2021年1月15日までに出願する必要があります。図によると、特許出願の日は2020年10月14日なので、出願日は間に合っています。
次に、新規性の喪失の例外の証明書提出書の提出日は2020年11月13日までに提出します。図によると、提出日は2020年11月13日なので、間に合っています。
 このように、発明を公開した後に特許出願をする場合には、期限に注意して出願準備を進めていく必要があります。

外国に出願する場合の注意点

 新規性の喪失の例外は、日本の特許出願にのみ適用されます。外国でも特許を取りたい場合には、外国でも新規性の喪失の例外に相当する手続きを行う必要があります。
 しかし、新規性の喪失の例外の規定の要件は、国によって異なります。このため、発明を公開したために特許を取ることができなかったという事態が外国では発生しうるので注意が必要です。
 特に注意すべき国は、中国と欧州です。中国と欧州は、IP5と呼ばれる主要5か国(日本、米国、欧州、中国、韓国)のなかで、日本よりも新規性の喪失の例外の要件が厳しい国だからです。欧州と中国でも特許を取りたいと考えている場合には、発明を公開する前に出願することをお勧めします。

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