特許の要件・新規性が特許に求められているのはなぜか?

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新規性とは何か

 新規性とは、発明が客観的に新しいということです。新規性は、発明に特許を認めてもらうための要件の1つです。特許の要件として新規性が求められている理由は、すでに知られている発明(新しくない発明)に特許権という独占権を与えることは、社会に利益を与えるものではなく却って産業の発展を阻害してしまうからです。

新規性の有無は出願の時点で判断される

 発明に新規性があるかどうかは、特許出願時で判断されます。つまり、新規性の有無は、特許出願した日だけではなく、出願日の時刻(時・分)まで考慮して判断されます。

新規性が認められる例

 以下の例は新規性が認められる例です。
2021年1月10日の10:00に発明を特許出願する。
2021年1月10日の12:00に自社のホームページで発明を発表する。
この発明は、ホームページでの発表前に特許出願をしているため、新規性が認められます。

新規性が認められない例

 以下の例は新規性が認められない例です。
2021年1月10日の10:00に自社のホームページで発明を発表する。
2021年1月10日の12:00に発明を特許出願する。
この発明は、特許出願前にホームページで発明を発表しているため、新規性が認められません。

新規性の有無は日本又は外国が基準となる

 発明に新規性があるか否かを判断するための情報は、外国の情報も含まれます。すなわち、特許出願前に外国で知られている発明は、日本で特許を取ることができません。このため、発明を外国で販売又は発表した後に日本で特許出願をしても、特許を受けることができません。

新規性がない発明の具体例

公然知られた発明

 特許出願前に日本国内又は外国で公然知られた発明は特許を受けることができません(特許法29条1項1号)。
公然知られた発明とは、守秘義務がない人に内容を知られた発明です。守秘義務を有さない人に知られた発明は、知った人数に関わらず新規性を喪失します。例えば、学会やテレビ、マスコミの取材等で発表された発明は公然知られた発明に該当します。
このような発明は公然知られた発明として、特許を受けることができません。

公然実施された発明

 特許出願前に日本国内又は外国で公然実施をされた発明は特許を受けることができません(特許法29条1項2号)。
公然実施をされた発明とは、発明の内容を公然と知られる状況で実施された発明です。例えば、工場見学で製品の製造工程を不特定の人が見学した場合に、その製造工程を見れば発明の内容を知ることができる状況にあれば新規性を喪失します。
このような発明は公然実施された発明であるとして、特許を受けることができません。
 また、公然実施には、公然と知られるおそれのある状況で実施をされた場合も含まれます。すなわち、前述の工場見学に来る人がいなかったとしても、工場見学できる状況にあれば、公然実施された発明に該当します。

刊行物などに記載された発明

 特許出願前に日本国内又は外国で頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明は特許を受けることができません(特許法29条1項3号)。
頒布された刊行物に記載された発明とは、不特定の人が見ることができる状態に置かれた刊行物に記載されている発明です。刊行物には、本や雑誌だけではなく、CD-ROMや、マイクロフィルムのような媒体も含まれます。例えば、学会の論文誌に記載された発明、CD-ROMに記録された映像に映されている発明は、新規性を喪失します。
電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明とは、インターネット等の双方向に通信可能な電気通信手段を通じてアクセス可能な状態で公開された発明等が該当します。
このような発明も特許を受けることができません。

新規性喪失の例外について

 新規性喪失の例外とは、新規性がない発明でも一定の要件を満たしていれば、新規性を失っていないとみなす規定です。この規定を活用することで、誤って公開してしまった発明でも、特許を受けることができる場合があります。しかし、この規定は非常用の手段です。日本では新規性を失っている発明でも、新規性喪失の例外を使うことで特許を受けることが可能ですが、外国ではこの規定を使えない(規定があっても使いにくい)国もあります。このため、外国では特許をとれなかったという事態もあり得ます。

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